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「陰翳礼讃」を読んで、照明計画に思う事

「陰翳礼讃」を読んで、照明計画に思う事 | ブログ

こんにちは、建築家の尾関広臣です。

 

多くのクリエイターが読んでいるという、谷崎潤一郎著「陰翳礼讃」を読みまして、

室内照明の陰影に思う事をブログに書いてみました。

 

「陰翳礼讃」はざっくり言いますと昭和初期の作品で

日本家屋の薄暗い室内から日本人は美意識を発見し、その感性を用いて日本の芸術や文化が発展していったという内容の本です。

本は作家ならではの着眼点で、美しい言葉で表現されています。

1文ですが紹介します、

「美と云うものは常に生活の実際から発達するもので、暗い部屋に住むことを餘儀なくされたわれわれの先祖は、

いつしか陰翳のうちに美を発見し、やがては美の目的に添うように陰翳を利用するに至った」

「陰翳礼讃」を読んで思い出したのが、

4年前に行った、新勝寺(広島県)の中にある茶室「秀路軒」です

日光は障子を通して室内を柔らかく照らし、行灯が1つある薄暗い室内でお茶を頂いたのですが、

薄暗いせいか神経が研ぎ澄まされ、心も落ち付き、とても贅沢な時間を過ごしたのを思い出しました。

谷崎潤一郎が言うように「陰翳のうちに美を発見」はとても共感できます。

 

話は少し変わりまして、

店舗設計を行う者として、照明の力を無視することは出来ません、

照明の出来栄えが集客に影響するとも考えています。

上の画像は自身が設計した「ワインバーアリーザ」さんの店内画像ですが、

壁や天井などはコンクリートに白塗装とほぼ既設のままを使用して、その代わり照明計画に注力した現場でした。

照明計画をするにあたり、何を照らすか?何を照らさないか?を考え、

それに合わせて全体のバランスを見ながら店内の雰囲気作りを考えます。

陰影を作り出すことで店内に奥行きや深みを作り出します。

 

上の画像で言えば、画像左のワインラックに間接照明を仕込んでやわらかい光を作り出したり、

画像右の壁面を照らすスポットライトも狭角にして額を集中的に照らし、

そして、空間全体を無駄に照らさないようにしています。

 

雰囲気のあるお店になったと思います。

 

「ワインバーアリーザ」さんは「陰翳礼讃」を読む前に施工したので

「陰翳礼讃」に影響を受けたとかそのような話ではないのですが、

 

陰翳に対する美意識は誰もが持っていて、言葉ではうまく言い表せないですが、

何か感じるものはそれぞれあるように思います。

照明計画も少なからず通じるものがありブログにしてみました。

 

 

 

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