経年変化を楽しむ「錆びていく鉄」
- 2024.02.26
- ブログ
こんにちは、建築家の尾関広臣です
2年前にお仕事させて頂いた「BISTRONOMIE TKM」さんに行って来ました。
入口に使用した鉄のドアがいい感じに錆びていたのでそのことをブログに書いてみます。
こちらのお店はフランス料理店という伝統のある料理を提供するという事で
老舗の雰囲気や料理自体に深みが出るようにと
お店の内外装の仕上げに経年変化が出る素材を多く使用しました。
例えばですが、下の画像はロンドンの街並みですが、
ロンドンには、古ければ古いほうが箔が付き深みが出るような建物が多くあります。
これは外壁に使用している素材のレンガや石などの経年変化に納得がいくからだと考えます。
レンガや石の模造品ではロンドンの街並みは作れません。
そのような事を考えながら、「BISTRONOMIE TKM」さんで使用する素材を選びました。
木やコンクリートや鉄を多く使用したのですが、早くに変化が出たのが鉄です。
鉄は錆止め塗装をしないで完成にして、2年経って全体にいい感じに錆びていました。
上の画像は完成すぐで、看板とドア枠にまだ錆がない時になります。
上の画像は2年後の錆びの状態です
取っ手の画像ですが、人が握る部分は人間の油で錆びていません、
自然に出来た偶然の産物で、とてもいい感じです
錆びに関して、経年変化と書くといいように聞こえますが、経年劣化とも言えます。
こちらのお店では外観の上にアーケード用の屋根がありますので、常に雨にさらされている状態ではないのと、
錆びの浸食スピードなどいろいろ調べた結果、20年以上はもつようになっています。
図面には書けない自然の力がお店に歴史を刻み、深みを与えてくれています。
次は木の部分に変化が出ると思いますのでまだまだ変化は続きます。
折角、伺ったので
BISTRONOMIE TKMさんで料理を頂きました。
一ヵ月熟成させた飛騨牛ですが脂身が少ないのにとても柔らかくとてもおいしかったです。
ごちそうさまでした。